1、正信偈
浄土真宗で、もっとも重視されるのは、「帰命無量寿如来(きみょうむ
りょうじゅにょらい)」で始まる正信偈(しょうしんげ)です。正信偈
は、朝晩の勤行、お通夜や葬儀でよく唱えられます。7文字×120行の
840文字からなっています。『正信偈』はお経ではなく、親鸞聖人の主著
『教行信証』の一部です。「お経」は、お釈迦さまの説かれたことをお弟子
が書き残したものですが、『教行信証』はお釈迦さまの説かれた一切経を圧
縮して仏教の真髄を明らかにされたものです。
浄土真宗では浄土三部経と呼ばれるものを経典としています。浄土三部経とは、大
無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経の3つのお経です。
2, 大無量寿経
大無量寿経は、浄土三部経と呼ばれるもののなかの経典で、浄土真宗の中で最も
重要視されているお経です。大無量寿経には、阿弥陀如来の本願が説かれています
。阿弥陀如来の本願とは、阿弥陀如来の慈悲ということです。大無量寿経の中でお
釈迦様は阿弥陀如来の言葉を借りて「どんな人も必ず助ける、絶対の幸福に」と誓っ
ています。
3,観無量寿経
観無量寿経は、浄土三部経と呼ばれるもののなかの経典で、極楽浄土に往生する
方法として16の観想を説く経典です。お釈迦様が霊鷲山にいた時代、マガダ国王の
韋堤希夫人が子供の阿闍世に幽閉されるという悲劇が起きました。その際にお釈迦
様が韋堤希夫人を本当の幸せへと導いた説法の内容が書かれたのが観無量寿経で
す。
4,阿弥陀経
阿弥陀経は、浄土三部経と呼ばれるもののなかの経典で、小経とも呼ばれるお経
です。弟子とお釈迦様の掛け合いの形で進んでいくお経が多いですが、阿弥陀経は
お釈迦様だけが語っていくという特徴があります。お釈迦様が阿弥陀如来の力の偉大さと西方にあるという
極楽浄土のありさまについて称え、他の仏もそれを保証して
いるという内容です。みな極楽浄土へ往生すべきと説いています。
5,南無阿弥陀仏
浄土真宗では南無阿弥陀仏という念仏を唱えます。南無阿弥陀仏には「阿弥陀如来
を心から信じる」という意味が込められており、開祖である親鸞が「極楽浄土への往
生を信じ、念仏を唱えること自体が信仰の心である」と説いているためです。南無阿
弥陀仏の「南無」は、「帰依します」という意味で、すなはち、「阿弥陀仏に帰依します」
という意味になります。
(参考)
浄土真宗は、阿弥陀如来の慈悲によって誰もが成仏をするという他力本願を教えと
しています。そのため修行により自らの力で悟りを開いたり、成仏することを求めるお
経である『般若心経』を読むことはありません。