浄土真宗について

浄土真宗とは

日本の仏教は大きく、聖道仏教と浄土仏教に分けられます。2つの大きな違いは、悟りを開いたり成仏することを自力に求めるか他力に求めるかです。いうまでもなく、浄土真宗は浄土仏教に分類され、阿弥陀如来の本願、つまり阿弥陀如来の慈悲の力によって成仏をして極楽浄土に行くことを説いています。そのため浄土真宗では厳しい修行を必要とせず、出家の概念が存在しません。浄土真宗は、日本でもっとも信者数の多い仏教宗派で、鎌倉仏教のひとつです。浄土真宗では、「私を信じるものは一人残らず救う」と誓った阿弥陀如来の慈悲は絶対であり、信心をもって「南無阿弥陀仏」の念仏を称えれば必ず極楽浄土に往生できると説いています。

浄土真宗は、平安時代の後期から鎌倉時代を生きた開祖親鸞聖人が唱え始めました。

浄土真宗の教義は、「善人なおもて往生す、いわんや悪人をや」という言葉に象徴されています。現代文に訳すと「生きている間にのよい行いをした善人でさえ死んだら極楽に行ける。それくらいだから悪人であればなおさら極楽に行ける」ということです。常識から言えば、悪人が極楽に行けなくても善人こそ極楽に行けるはずです。つまり「悪人なおもて往生す、いわんや善人をや」というのが常識でしょう。しかしながら、浄土真宗では、悪人こそ極楽に行ける、ということがその教義の根幹的な内容なのです。ここで、「悪人」とは悪いことをした人を指すのではなく、「自分は悪い行いをした」と自覚していて、それでも仏様にすがって極楽に行けるように願っている人のことを指します。「いわんや悪人をや」の悪人とは仏様に一心にすがっている人のことで、自分は善行をしたから極楽に行けるはずだと思って仏様にすがる気持ちがない善人よりも、そのような悪人の方が極楽に行ける、だから一心に仏様にすがりなさい、という教えに他なりません。このような教義だからこそ、浄土真宗は身分の上下にかかわらず多くの人に受け入れられ、信者数が日本で一番になったといえるでしょう。

日本では明治時代に出された太政官布告によって僧侶の肉食妻帯が公に認められることとなりますが、それよりもはるか昔から、浄土真宗では食肉妻帯を公然と行っていました。それは、開祖親鸞みずからが、庶民らと同じように肉を食べ、妻を持っていたからです。

親鸞聖人を宗祖と仰ぐ浄土真宗は、血縁関係、師弟関係からなる系譜によって受け継がれ、様々な歴史的背景から、現在では十派に分流し垣根を超えて統一した行動をとるべく真宗教団連合が1923年に発足し、これら十派が加盟して結成されています。

真宗十派は、「浄土真宗本願寺派」「真宗大谷派」「真宗高田派」「真宗仏光寺派」「真宗興正派」「真宗木辺派」「真宗山元派」「真宗出雲路派」「真宗三門徒派」「真宗誠照寺派」です。